大阪府の最北端に位置する能勢町は、梅田から車で50分程度と気軽に行ける距離にありながら、四方を自然豊かな山に囲まれ気温が5℃ほど低く、大阪の避暑地として知られています。今回は、道の駅能勢(くりの郷)を起点に秋の能勢を感じながら、岐尼(きね)神社、久佐々(くささ)神社などパワーをもらえそうなスポットを巡る約11kmの周回コースをご紹介します。

 

今回のコースもNo.02:長谷棚田12kmコースと同様、買い物、食事、観光案内など能勢の魅力がぎゅっと詰まった能勢町観光物産センター 道の駅能勢(くりの郷)からスタート。大阪方面から能勢町に入ってすぐのあたりに位置してアクセスが良く、広い駐車場も完備。この日も地元で穫れた新鮮な農産物を目当てに、多くの来店客がオープン前から並ばれていました。

手にとっているのは能勢栗「銀寄せ」のほんのりとした甘みと香りする「栗ドレッシング」。サラダのほか肉料理や揚げ物、パスタにもおすすめだそうです。

買い物は帰る前にするとして、さっそくサイクリングに出かけます。11月とは思えない暖かさで、楽しい1日になりそうです。

道の駅の裏手の道を北上すると、すぐに田園風景が広がります。車の往来も少ないので、長閑な景色を楽しみながらゆっくり走ります。

緩やかな坂を越えると田んぼを見渡せるところに看板が(多田塚)。能勢町にはいたる所に戦国史や観光情報が掲出されています。

この辺りから西へ折れて少し走ると、長谷の棚田を下から一望できます。

岐尼(きね)神社を訪れる前に、そのすぐ横の木田菓子店に立ち寄ります。パイ生地を使ったコルネをひとつ、サイクルングの休憩と称して購入。和洋菓子を製造販売する同店は、地元の人に古くから愛され続けている一軒です。

木田菓子店のコルネは注文してからカスタードクリームを詰めるので、皮がサクサクで癖になる美味しさです。
歴史から店主の想いまで、木田菓子店の詳細には、能勢町で生活する人々の暮らし方や仕事ぶりなどを取材し、大阪のてっぺんから様々な情報を伝えるメディア「のせむすび」で触れることができます。
Link → でっちようかん、能勢栗もなか。町民の暮らしに欠かせない和洋菓子を製造販売する木田菓子店

こちらが今回の目的地のひとつ、大明山麓の森に鎮座する岐尼(きね)神社。朝晩の肌寒さで木々が綺麗に色づいています。

岐尼神社は782年の創祀以来朝廷の勅願所で、将軍家代々のご祈願所でもあったそう。歌人、書家、宮内省御歌所寄人の阪正臣氏の歌碑が木陰に建っています。
岐尼の神が社殿南側の小丘、天神山に降臨のとき、里人が臼の上に「杵」をわたし、荒狐をしいて迎え、新殿を造ってここにお遷しし「杵の宮」と名付け祭祀したという伝承から社名に繋がっています。

岐尼神社を後にし、国道173号から府道54号に入ってすぐの三角屋根が目印のお店は、地元のお米屋さんが経営しているお餅メインのカフェ。まだ昼前なので、軽く昼食をいただきます。

植村米穀店のcafe’ smile(カフェスマイル)は、お餅とお米の専門店。米や餅米のほか、かき餅、冬季はあん餅なども販売。お正月用ではエビ餅、黒豆餅、こがね餅、丸小餅、一升餅を販売、桃の節句には菱餅(要予約)もあるそうです。

この日はお雑煮を注文。食べ応えのあるお餅が2個入っていて、そのボリュームと美味しさに満たされました。

店内では普通の定食などもいただけますが、お餅メインのメニューではみたらし、きなこ、砂糖醤油(バター添え)、あんこ、ぜんざい(白玉入り)、餅入りミネストローネなどがいただけます。

お店から東へ進むと、緩やかで長い上り坂(eBikeなら脚力に自信の無い方でも大丈夫です)。下り坂に差し掛かり釣り堀を超えたところで右手に景色が開けるので、右折します。田畑の向こうに見える大きく立派な屋根のある建物は、”浄瑠璃の里 能勢”をPRする劇場「浄るりシアター」です。

「能勢の浄瑠璃」は、江戸時代後期から今日まで200年以上にわたって受け継がれている能勢の大切な芸能です。現在でも、約200名の語り手が存在し、町内各地区に太夫襲名の碑など100余基が残されています。

この伝統芸能「能勢の浄瑠璃」を次代に継承するため、人形・囃子を加えたビジュアル化で1998年に淨るりシアターのプロデュースにより「能勢人形浄瑠璃」がデビュー。2006年には新たに名称を能勢人形浄瑠璃 ”鹿角座(ろっかくざ)” として、劇団を旗揚げし、現在も様々な活動をされています。

サイクリングの途中に休憩も兼ねて、ゆっくり伝統芸能に触れてみるのも良いですね。

お浄&るりりんは、”もっと身近に!もっと魅力的に!!”をキーワードに、能勢人形浄瑠璃と能勢町の魅力を発信するために誕生した、2015年から能勢町公認のPRキャラクター。

浄るりシアターに隣接するスタイリッシュな建物は、2021年に開庁した能勢町 新庁舎。天井及び壁のルーバー・ベンチ・受付カウンターには能勢産スギ材を活用し、木の香る温かみのある空間を実現しています。

パワースポット巡り2ヶ所目の久佐々(くささ)神社に到着。写真左手の巨木が参拝者を迎えます。

久佐々神社は、713年に創祀されたと伝えられる「延喜式内社」。式内社は、平安時代にすでに官社として認定されていた神社を示し、由緒ある神社といえます。

境内には大木が鬱蒼と茂り、派手さはありませんが美しい紅葉が目を引きます。神門をくぐった正面にあるのは舞殿、写真右手に少し写り込むのは、希少とされる長床です。

地面には苔が広がり、幻想的で澄み切った雰囲気を漂わせています。
落葉の時期には、銀杏の落ち葉で境内が黄色く染まるそうです。
うまく撮れませんでしたが、苔むした古木にハート型の陽が射していました。
鳥居をくぐった先には、神聖な空気を感じる石畳の参道も。

後半は、久佐々神社の向かいを流れる大路次川沿いに走ってみます。山と川と田畑があるだけですが、それが何よりも心地よいと思えます。大阪から小一時間でこんな素晴らしい自然に出会える、能勢町っていいなって改めて思います。

左岸から右岸へ移動しながら、大路次川沿いにひたすら南下します。信号も車の往来もほとんどないので、とても気持ちの良いサイクリングです。道でお会いした能勢町の方は、皆さん挨拶をしてくださいました。

川沿いに群生するススキが綺麗だな〜っと思いながら走っていたら、最後に山辺川で間近に触れることができました。風にサラサラと揺れる美しいススキの姿に癒され、サイクリングを締めくくりました。

今回巡ったコースはこちら。

岐尼&久佐々神社 パワースポット巡り11kmコース

 

*撮影協力
 能勢町観光物産センター 道の駅能勢(くりの郷)
 能勢町観光協会 / のせNOTE 能勢町の観光と物産
 木田菓子店
 植村米穀店 / cafe’ smile

*使用車体
 Tern / VEKTRON N8

*この記事で紹介している情報は、2022年11月時点の取材に基づいています。
*田畑への立ち入り、集落、路地への身勝手な侵入など、地域の方に迷惑のかからないようにサイクリングをお楽しみください。
*株式会社アキボウではCSR活動の一環として、産業(観光業)の活性化を目的に能勢町を中心としたサイクリングMAPの制作、情報発信に取り組んでいます。