大阪府の最北端に位置する能勢町は、梅田から車で50分程度と気軽に行ける距離にありながら、四方を自然豊かな山に囲まれ気温が5℃ほど低く、大阪の避暑地として知られています。今回は、能勢町のシンボルツリー「野間の大けやき」を起点に野間から田尻エリアへ抜けて野間へ戻る約11kmの周回ルートをご紹介します。
樹齢1000年ともいわれる「野間の大けやき」は能勢町の豊かな自然環境のシンボルで、高さ27.37メートル、幹まわり13.01メートル、最大枝張は幅39.3メートル、高さ36.2メートルの巨樹です。けやきとしては西日本最大で、大阪緑の百選、国の天然記念物に指定されています。この大けやきに関する資料を中心に展示、公開するために「能勢町けやき資料館」が設けられ、週末を中心に多くのサイクリストの方も訪れています。サイクルラック完備。
天気のいい週末には、木の下に、小さな屋台カフェがオープンします。ハンドドリップでじっくり丁寧に淹れられた「ありなし珈琲」を飲みながら、至福のひと時を過ごしてみるのもオススメです。珈琲の他にも、紅茶やお土産用にドリップパックの販売もあります。
大けやきのすぐ向かい、青い屋根に白い壁が目印のお洒落なお店は、天然酵母の食パンが特に人気のパン屋さん「薪パン日々」。日々の暮らしに、日々の食卓に、そっとより添えるパンを作っていきたい。そんな想いを胸に2017年春オープンし、今では遠方からもお客さんが来るほどの知名度に。
田んぼの中にある鎮守の森は、推古天皇の時代に大和の石上布留大明神の石窟より勾玉241個をお祀りしたのが起源とされる、野間神社。能勢町にはチェックしたい寺社が多数点在しているので、自転車でまわると便利です。
国道477号沿いの小径は、ボランティアの方々によって「あじさいロード」が整備されています。少し走ると、山裾に立派な寺が見えてきました。能勢氏中興の祖能勢頼次公が、亡き父頼幸の菩提を弔うため建立した「清普寺」です。
清普寺の本堂は、本堂としては大阪府最古の建物としても知られています。
清普寺の向かいにある、こんもりとした小さな山は丸山城跡です。ここは、摂津から丹波国へと通じる街道に面した交通の要衝で耕作地も広く、豪族能勢氏の本拠地となりました。丸山にはすでに平安時代末には城館が営まれたとみられています。周囲には、鎌倉時代の石造九重層塔や南北朝時代の石造宝篋印塔が現在も残っています。
段々畑の横を上り、上田尻へ抜ける「仏坂峠」を走ります。車一台がやっと通れる幅ですが、この峠道をわざわざ利用する車はほとんど見られません。
この辺りがちょうど峠付近です。道を挟んでかなり切り立っていますが、道を通すために尾根を削ったのか、堀切のあったところに道を通したのかは不明です。
森の散策気分を味わって上田尻方面へ下ってくると、棚田や民家のある懐かしい風景が広がります。
田尻川を中心に南北に広がる田尻地区も、自然豊かな山や田んぼに囲まれた懐かしい風景の残るエリアです。偶然通りかかった景色を思い思いに切り取るだけで、お気に入りの1枚をカメラに収めることができます。
次に訪れたのは、速素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祭神とする「原林神社」です。数年前に閉校となった田尻小学校の運動場に面していて、見慣れない不思議な風景になっています。
田尻川沿いに府道106号を走り、妙見山への標識を頼りに左折すると、野間方面にショートカットできる塩谷峠です。塩谷峠を越えてすぐ、野間川沿いに走るとすぐにあるのが、大正時代からある古民家をリノベーションしたカフェ&レストランの「Dear N’s kitchen(エヌズキッチン)」。有機栽培や低農薬野菜など、安心・安全な能勢産の素材をふんだんに使う料理に、全てオリジナルのドレッシングやソース、スイーツが人気です。
Dear N’s kitchenのすぐ近くから府道604号を外れて野間川を渡り、田や集落を通る裏道を抜けて起点の大けやきを目指します。
ほんの11kmの短いコースですが、立ち寄ったそれぞれのスポットでゆっくり過ごしているともう陽が西に傾き始めていました。梅田から約50分という距離にありながら、都会の喧騒を忘れてリフレッシュできる能勢町の、野間田尻11kmコースはいかがでしたか?皆さんもぜひ訪れてみてください。
今回巡ったコースはこちら。
*撮影協力
能勢町
薪パン日々
Dear N’s kitchen
*使用車体
Tern / Vektron S10
*この記事で紹介している情報は、2021年6月時点の取材に基づいています。
*株式会社アキボウではCSR活動の一環として、産業(観光業)の活性化を目的に能勢町を中心としたサイクリングMAPの制作、情報発信に取り組んでいます。